「保険があれば大丈夫」は本当？身元保証との違いに注意
医療保険や介護保険に加入しているから、将来の備えは万全──。
そう思っていても、「身元保証人が必要です」と病院や施設から言われ、戸惑う人が増えています。
実は、保険と身元保証はカバーする範囲や目的がまったく違う制度です。
この記事では、それぞれの違いと使い分けについてわかりやすくまとめます。
身元保証サービスとは？「人の保証」に関わる支援
まず、身元保証サービスは、病院や高齢者施設で以下のようなことを依頼される際に必要となるものです。
- 入院・入所時の連帯保証
- 緊急時の連絡先や意思決定の代行
- 退院・退所後の支援や死後事務の引き受け
つまり、人の身柄や生活を支える役割を担っており、医療費や介護費を支払う「保険」とは根本的に性質が異なります。
保険とは？費用の補填が主な目的
一方、医療保険や介護保険は、「サービスにかかった費用を一部または全額補填する制度」です。
- 医療保険：入院費・治療費などに対する補償
- 介護保険：介護サービス利用時の自己負担軽減
- 民間保険：特定の疾病や死亡時の給付など
これらは金銭的支援を目的としており、身元保証のように「本人の生活支援や身の回りの決定」に介入するものではありません。
両者の主な違いを比較表でチェック
| 比較項目 | 身元保証サービス | 医療・介護保険 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 人的な保証、生活支援、死後対応 | 費用の補償、金銭的リスクの軽減 |
| 具体的な役割 | 緊急連絡、契約時の保証人、死後事務 | 入院費補償、治療費支払い、介護補助 |
| 対応範囲 | 医療・介護・賃貸契約・死後処理まで | 医療・介護にかかる費用 |
| 法的性質 | 民間サービス（委任契約等） | 公的制度または民間保険契約 |
| 誤解しやすい点 | 保険がある＝保証不要と勘違いしがち | 保険加入＝保証人が不要ではない |
どう使い分ける？よくあるシチュエーションで解説
● 入院・施設入居
→ 医療費は健康保険でカバーされますが、「保証人」が必要になるケースも多く、身元保証が別途必要です。
● 高齢者の一人暮らし
→ 日常生活に問題はなくても、緊急時対応や万一の死後処理に備えて身元保証契約を検討すると安心です。
● 保険に加入していても…
→ 介護保険を利用していても、「施設入居時の身元保証」が求められることは多く、両者の併用が現実的です。
まとめ：金銭と信頼、両方を備えるのが安心
保険は金銭的な備え、身元保証は人的な備え──。
どちらか一方ではなく、役割の違いを理解したうえで併用することが、将来の安心につながります。
「子どもに頼れない」「遠方に家族しかいない」
そんな方ほど、身元保証について早めに検討しておくことが重要です。
